翻訳研究 Translation Studies

私の専門である〈翻訳研究 Translation Studies〉なるあやしげな研究分野についてのページです。それに関連した書き物もここに置いてあります。研究者としてのリサーチマップはこちら


翻訳研究とは

■翻訳についての研究です。

■翻訳文学のことだけではなく、「翻訳とは何か」という問いを掲げつつ、翻訳にまつわる人間や文化、歴史、事象、現象などなどを、分析的に考えます。

■私の専門は主に理論と歴史です。翻訳なるものは何なのか、その原理を考えると同時に、過去の翻訳者たちの行為や言説の歴史的位置づけについて探っています。

■某大学の大学院課程にて翻訳論史のリレー講義をやってました。そのあと文芸翻訳の翻訳研究についてのクラスを持ったり、翻案文化についての通年講義をやったり、翻訳研究の大学院演習をしたりと、いろいろ。

■わたくしごとですが翻訳研究で博士号取れました。


翻訳研究に関する論文等

ジョン・デナムの翻訳論――〈作品〉への予感 → 読む

17世紀イギリスの人ジョン・デナムの書いた翻訳論についての論文。喪失感の文体。

近代英国翻訳論――解題と訳文 ジョン・デナム 二篇 → 読む

上記論文の要約と、当該翻訳論の翻訳。「近代」よりも「前近代」の方がよかったかな。

近代英国翻訳論――解題と訳文 ジョン・ドライデン 前三篇 → 読む

上の続き。17世紀末に書かれたもので、翻訳論でもよく引用される文章の訳と解説です。

近代英国翻訳論――解題と訳文 キャサリン・フィリップス 書簡集(抄) → 読む

1号あいて。17世紀中頃に書かれた手紙の訳と解説。オリンダさんは時の人でした。てゆうかハルヒ。

ロスコモン伯『訳詩論』と翻訳アカデミー → CiNiiの定額アクセスだとか

17世紀末のある貴族と翻訳サークルについて。少年伯爵とかいいよね。ケアレスミスがちらほら。

近代英国翻訳論――解題と訳文 ロスコモン伯ウェントワース・ディロン『訳詩論』(抄) → 読む

たまに名言集なんかでも引かれる詩の本邦初訳。都合により抄訳ですが。

『転身譜』第15巻跋詞の訳におけるジョージ・サンズの変容 → 読む

17世紀のとある翻訳についての小論。旅人と翻訳。ほんの一部だけ切り取ったもの。

近代英国翻訳論――解題と訳文 ホラーティウス『詩論』(抄)とその受容 → 読む

ホラーティウスの英国前近代における受容を簡単に。時間が足りなかったので、そのうち書き直すかも。

近代英国翻訳論――解題と訳文 トマス・フランクリン『翻訳:あるひとつの詩』 → 読む

出版広告としての翻訳論。自分の作品を売るために論じるわけですね。

Opening to Everyone: From Wycliffite’s Bible to the Authorized Version → 読む

欽定訳聖書に至るまでの翻訳論史。このとき編年体で書いたのですが、のち抜本的推敲へ。

近代英国翻訳論――解題と訳文 ジョン・ドライデン 後四篇 → 読む

前三篇のときはすぐ訳すわみたいなノリでしたがここに辿り着くまで結構かかりました。

ドライデンの翻訳論と中庸の修辞 → 書誌

論集『十七世紀英文学を歴史的に読む』所収。ドライデンに逆転裁判を仕掛けました。異議あり!

近代英国翻訳論――解題と訳文 欽定訳聖書 翻訳規程および序文(抄) → 読む

手元ではもうちょっと分量訳してたのですが諸事情で一部。いつもタブがずれてしまうのがつらい。

夭折の詩人ジョン・オールダムとその古典翻案 → 書誌

論集『17世紀の革命/革命の17世紀』所収。そこそこマイナーな詩人なのにラヴクラフトが読んでいてびっくり。あの人はガチの初期近代英国文芸好き。

サミュエル・ジョンソン「翻訳史」(翻訳と解題) → 読む

紀要に載せた翻訳論の翻訳がリポジトリに載りました。ラヴクラフトがお手本にしたジョンソン博士の手になる文章です。そういえば翻訳論の翻訳活動が表に出るのはおよそ2年ぶり。再スタートです。

アレグザンダー・ポウプ「サンズの幽霊」(翻訳と解題) → 読む

紀要に載せた翻訳論の翻訳。復活2つめ。詩のかたちがきれいに揃っていると気持ちいいですね。

ジェイン・バーカー「乙女の生活」ほか(翻訳と解題) → 読む

別の紀要に載せた創作論の翻訳。メッセージ性の強さに思わず初訳。

亡霊は二度死ぬ――マシュー・プライアによる翻案批判とアフラ・ベーンの翻訳論 → 書誌

論集『十七世紀英文学における生と死』所収。「亡霊は2度死ぬ」っていうC級映画があるんですよ。007は関係ない。

エドワード・ヤング「創作覚書(抄)」(翻訳と解題) → 読む

紀要に載せた翻訳論の翻訳。ロマン派や疾風怒濤運動の理論的背景となった評論として、エイブラムズ『鏡とランプ』以後よく知られるようになった文章について。現代の創作概念や、著作権法における創作者重視の考え方にも大きく影響を与えたそうな。

エリザベス・カーター書簡集(翻訳と解題) → 読む

紀要に載せた翻訳論の翻訳。エピクテートス英訳者として知られるエリザベス・カーターが、訳すなかで友人とやりとりした書簡の和訳。

A・F・タイトラー『翻訳原論』について → まだ読めません

修士論文の一部ですが、そのうち書き直します。実は当該書の抄訳もしてあるのですが、全体的に見直しております。そちらもいつか何らかの形で公開を。

翻訳論から見た英国17世紀の翻訳者たち――古典を訳した人間とその環境 → まだ読めません

博士論文、18世紀の部分も増補してそのうち出版したいな。読みたいひとはご連絡ください。

十七~十八世紀英国翻訳論集(私家版)


たびたび訳してきた翻訳論の翻訳をまとめたものを、手元用に私家版作成。2016年の非売品。


『翻訳のダイナミズム』

翻訳したモンゴメリ『翻訳のダイナミズム――時代と文化を貫く知の運動』が白水社より刊行中。古代~中世~近代にかけての翻訳の世界史を描く意欲作。
【白水社書籍案内】  【amazon.co.jp】


HTS翻訳プロジェクト

日本通訳翻訳学会の有志で、Handbook of Translation Studies (John Benjamins刊)のオンライン版にて、翻訳プロジェクトを展開しておりました。

私自身は「翻訳概念」「翻訳史」「言語哲学と翻訳」「科学翻訳(学術翻訳)」「パラテクスト」「翻訳に対するメタファー」「コミック翻訳」などを担当。


4年間ほどで訳了された全174項目中の36記事を冊子にまとめたものが、冊子となって学会員向けに配布されました。(本当はちゃんと出版したかったのですがこのご時世で叶わず、残念)


拙訳が翻訳研究の対象になったもの

Furukawa, H. (2015). "De-feminised Sherlock Holmes' Woman: A Failed Attempt". META 60(2):333
→ 【書籍になりました】Furukawa et al (eds.) The Palgrave Handbook of Literary Translation, Palgrave Macmillan, 2018.

Alice in Translation project
ピッツバーグ大学の学生さんがデジタル人文学の授業で拙訳のアリスをテキストマイニング分析してくださったもの。原文のライムの多さが訳文ではオノマトペの多さに転じているらしいです。


お片付けしたもの

翻訳という魔法を考える → 公開休止

京都大学総合人間学部でやった私の卒業論文の要約。現物はめちゃくちゃ長く、現象学でひどくわかりにくい(というか読むのがつらい)ので、わかりやすくまとめてみました。翻訳をメタ的に考える翻訳哲学みたいなもの。(中身が古くなったので、お片付けしました)

翻訳研究の文献の集め方 → 執筆放棄

手に入れたくてもなかなか手に入らない翻訳研究文献。実践しながら探り当てたコツを伝授するつもりでした。(とはいえそんなことに需要があるのかどうかすごく疑わしいぞ。)

国内翻訳関連文献の一部書誌 → 準備取りやめ

だいたい800册程度になると思いますが、これまで実際に手にとって中身を確認できたもののみについて、翻訳に関係する文章・文献の一覧を公開するつもりでした。2006年に500くらいでストップさせたまま。。。(ノートは2020年現在、今でもつけています)


昔書いた学士論文の抜粋置き場

吉川幸次郎と翻訳空間 → 読む

学士論文の抜粋。中国語の翻訳について、書き下し文という「規範」を、吉川幸次郎が意識的に崩そうとしていったという話です。翻訳研究的には、「漢文」という「norm」の話だというとわかりやすいかも。PDFファイルです。

別宮貞徳と消費者運動 → 読む

学士論文の抜粋。別宮貞徳の誤訳批評は、凡百の誤訳批判のものと何が違うのかを念頭に置きながら、その意味と結果を解説しています。注釈では、その欠点についても。ただの誤訳のあげつらいには意味がありません。PDFファイルです。

野上豊一郎『飜譯論』の誤読 → 読む

学士論文の抜粋。「直訳主義者」とされがちな野上豊一郎への誤解を解くために、その『飜譯論』を詳細に読んで解説した文章です。直訳か意訳かというレベルで翻訳論を読んでいては日本の翻訳研究の発展などありえません。PDFファイルです。

柴田元幸と開かれた日本語 → 読む

学士論文の抜粋。柴田元幸の訳文は、普通今ではお目にかかれないほどの純和文のようなものが多いのですが、それはどうして? というところを考えたもの。執筆当時、論のツメが甘かったという印象があります。PDFファイルです。


翻訳に関する雑文

オトメンと指を差されて(7) → 見る

「水牛」連載エッセイ。翻訳者と魔法使いの比喩について。

オトメンと指を差されて(12) → 見る

旅しながら翻訳したい。

オトメンと指を差されて(36) → 見る

翻訳と放浪。

オトメンと指を差されて(40) → 見る

新人翻訳家とアイドル事務所について。

オトメンと指を差されて(45) → 見る

死んだ人はだいたい友だち。

オトメンと指を差されて(48) → 見る

温泉と翻訳村計画。

オトメンと指を差されて(49) → 見る

若訳ししたっていいじゃない。

オトメンと指を差されて(50) → 見る

翻訳怪談。

オトメンと指を差されて(55) → 見る

自動翻訳補正機能(ジョーク)。

オトメンと指を差されて(56) → 見る

ノイズキャンセラー。

オトメンと指を差されて(57) → 見る

訳詩強化月間。

オトメンと指を差されて(58) → 見る

訳詩強化月間2。

オトメンと指を差されて(59) → 見る

グアムの絵本について。

オトメンと指を差されて(60) → 見る

翻案映画の元ネタ。

オトメンと指を差されて(63) → 見る

今は亡き翻訳仲間。

オトメンと指を差されて(64) → 見る

赤鼻のトナカイの原作絵本。

原民喜と『ガリヴァ旅行記』 → 見る

本来はaozora blogに載せるはずだった解説文。最初は短かったのがだんだん長くなって、そのまま卒論のページ稼ぎに使われました。

こんにちは、ポワロさん。そしてさようなら、ポワロおじさん。 → 見る

だいぶ昔のaozora blogなぐり書きコラム。