The Complete 半七捕物帳

   ここは「半七捕物帳」という江戸時代を舞台にした探偵小説のページです。半七捕物帳は岡本綺堂(1872-1939)の作で、没後60年経過した今でも、根強い人気を誇っています。その作品を全集という形でご紹介したいと思います。これらの作品はすべてインターネット図書館《青空文庫》に収録されているもので、各作品の題名をクリックすると、青空文庫の図書カードにリンクされます。作者の執筆順の並び方と、事件発生年代順の二つありますので、お好みで、色んな読み方を愉しんでいただければ幸いです。


【半七捕物帳・作者執筆順】

参考資料:「綺堂むかし語り

 一、「お文の魂」(元治元年3月5日~3月末or4月初)
    (旧字旧カナ版新字新カナ版
 二、「石燈籠」(天保12年12月初~4日後)
 三、「勘平の死」(安政5年12月19日~12月24日)
 四、「湯屋の二階」(文久2年11月頃~文久3年1月8日)
 五、「お化け師匠」(嘉永7年7月10日~7月11日)
 六、「半鐘の怪」(?年9月末~11月8日)
 七、「奥女中」(文久2年5月川開き前~8月15日)
 八、「帯取りの池」(安政6年3月6日前後~3月22日)
 九、「春の雪解」(慶應元年1月末~2月初or半ば)
一〇、「広重と河獺」(「広重」安政5年1月17日~同日
           「河獺」弘化4年9月?日~?月?日)
一一、「朝顔屋敷」(安政3年11月8日~11月17日)
一二、「猫騒動」(文久2年9月22日~9月28、29日頃)
一三、「弁天娘」(安政元年3月18日~3月19日)
一四、「山祝いの夜」(文久2年5月の節句後~その夜の内)
一五、「鷹のゆくえ」(安政6年10月?日~翌日)
一六、「津の国屋」(弘化4年6月半ば~12月13日)
一七、「三河万歳」(文久3又は元治元年12月27日~12月29日)
一八、「槍突き」(文政8年夏~10から19日の間)
一九、「お照の父」(慶應元年5月28日~6月5日)
二〇、「向島の寮」(慶應2年4月20日~6月頃)
二一、「蝶合戦」(万延元年6月末~7月16日)
二二、「筆屋の娘」(慶應3年7月25日~8月初)
二三、「鬼娘」(文久元年7月初~7月20日)
二四、「小女郎狐」(寛延元年9月13日~23日)
二五、「狐と僧」(嘉永2年秋~9月末)
二六、「女行者」(文久元年9月24日以前数日のいつか~10月11日)
二七、「化け銀杏」(文久元年11月24日~12月19日)
二八、「雪達磨」(文久2年1月3日~17日)
二九、「熊の死骸」(弘化2年1月24日~4月末)
三〇、「あま酒売」(安政4年1月頃~3月末)
三一、「張子の虎」(文久2年3月12日~17日)
三二、「海坊主」(安政2年3月4日~5月10日)
三三、「旅絵師」(文政4年5月10日~5年3月半ば)
三四、「雷獣と蛇」(「雷獣」慶應元年6月15日~7月10日頃
          「蛇」文久3年6月末~数週間後)
三五、「半七先生」(嘉永3年7月6日~翌日)
三六、「冬の金魚」(弘化3年12月初~翌日)
三七、「松茸」(文久3年8月15日~12月13日)
三八、「人形使い」(安政末年7月13日~12月初)
三九、「少年少女の死」(「少女の死」元治元年3月末~その日のうち
            「少年の死」慶應3年6月末~9月半ば)
四〇、「異人の首」(文久元年3月16日~22日)
四一、「一つ目小僧」(嘉永5年8月14日~9月?日)
四二、「仮面」(元治元年9月末~10月半ば)
四三、「柳原堤の女」(慶應元年8月初~11月半ば)
四四、「むらさき鯉」(文久3年5月半ば~その5日ほど後)
四五、「三つの声」(元治元年3月21日~4月13日前後)
四六、「白蝶怪」(文化9年1月18日~2月末)
四七、「十五夜御用心」(嘉永6年8月15日~20日)
四八、「金の蝋燭」(安政2年4月2日~7日)
四九、「ズウフラ怪談」(安政4年9月末~その5日後)
五〇、「大阪屋花鳥」(天保12年7月29日~天保13年3月頃)
五一、「正雪の絵馬」(安政元年3月26日~6月11日)
五二、「大森の鶏」(嘉永4年1月21日~28日)
五三、「妖狐伝」(安政6年4月28日~5月半ば過ぎ)
五四、「新カチカチ山」(文久元年1月末~2月28日)
五五、「唐人飴」(嘉永4年4月11日~4月14日)
五六、「かむろ蛇」(安政5年8月末~9月21日)
五七、「河豚太鼓」(文久2年2月初~その2日後)
五八、「幽霊の観世物」(安政元年7月26・7日頃~8月11日)
五九、「菊人形の昔」(文久元年9月24日~10月7・8日頃)
六〇、「蟹のお角」(文久2年7月11日~7月16日)
六一、「青山の仇討」(嘉永4年9月末~?月?日)
六二、「吉良の脇指」(嘉永6年10月6日~7年7月12日)
六三、「歩兵の髪切り」(慶応元年2月・3月にかけて~未解決)
六四、「川越次郎兵衛」(安政2年3月7日~4月25日)
六五、「廻り燈籠」(安政元年4月23日~5月末)
六六、「地蔵は踊る」(安政6年7月頃~8月25日)
六七、「夜叉神堂」(文化9年3月11日~翌日)
六八、「薄雲の碁盤」(文久3年11月23日~26日)
六九、「二人女房」 (嘉永2年5月5日~10日)

以上、全六九話。うち、六九話登録済。
発生日、解決日を究明済みの作品、六九話。
(2002年5月23日現在)


【半七捕物帳・年代順】

元号西暦月日出来事
寛延元年 1948 9月13日 小女郎狐」発生
9月23日 小女郎狐」解決
文化九年 1812 1月18日 白蝶怪」発生※2
2月末 白蝶怪」解決
3月11日 夜叉神堂」発生
3月12日 夜叉神堂」解決
文政四年 1821 5月10日 旅絵師」発生
文政五年 1822 3月半ば 旅絵師」解決
文政八年 1825 槍突き」発生
10月10~19日 槍突き」解決
天保十二年 1841 7月29日 大阪屋花鳥」発生
12月初 石燈籠」発生
4日後 石燈籠」解決
天保十三年 1842 3月頃 大阪屋花鳥」解決
弘化二年 1845 1月24日 熊の死骸」発生
4月末 熊の死骸」解決
弘化三年 1846 12月初 冬の金魚」発生
翌日 冬の金魚」解決
弘化四年 1847 6月半ば 津の国屋」発生
9月 河獺」発生
12月13日 津の国屋」解決
嘉永二年 1849 5月5日 二人女房」発生
5月10日 二人女房」解決
狐と僧」発生
9月末 狐と僧」解決
嘉永三年 1850 7月6日 半七先生」発生
7月7日 半七先生」解決
嘉永四年 1851 1月21日 大森の鶏」発生
1月28日 大森の鶏」解決
4月11日 唐人飴」発生
4月14日 唐人飴」解決
9月末 青山の仇討」発生
青山の仇討」解決
嘉永五年 1852 8月14日 一つ目小僧」発生
9月 一つ目小僧」解決
嘉永六年 1853 8月15日 十五夜御用心」発生
8月20日 十五夜御用心」解決
10月6日 吉良の脇指」発生
安政元年 1854 3月18日 弁天娘」発生
3月19日 弁天娘」解決
3月26日 正雪の絵馬」発生
4月23日 廻り燈籠」発生
5月末 廻り燈籠」解決
6月11日 正雪の絵馬」解決
7月10日 お化け師匠」発生
7月11日 お化け師匠」解決
7月12日 吉良の脇指」解決
7月26・27日頃 幽霊の観世物」発生
8月11日 幽霊の観世物」解決
安政一or二年 9月末 半鐘の怪」発生
11月8日 半鐘の怪」解決
安政二年 1855 3月4日 海坊主」発生
3月7日 川越次郎兵衛」発生
4月2日 金の蝋燭」発生
4月7日 金の蝋燭」解決
4月25日 川越次郎兵衛」解決
5月10日 海坊主」解決
安政三年 1856 11月8日 朝顔屋敷」発生
11月17日 朝顔屋敷」解決
安政四年 1857 1月頃 あま酒売」発生
3月末 あま酒売」解決
9月末 ズウフラ怪談」発生
5日後 ズウフラ怪談」解決
安政五年 1858 1月17日 広重」発生と解決
8月末 かむろ蛇」発生
9月21日 かむろ蛇」解決
12月19日 勘平の死」発生
12月24日 勘平の死」解決
安政五or六年 7月13日 人形使い」発生
12月初 人形使い」解決
安政六年 1859 3月6日前後 帯取りの池」発生
3月22日 帯取りの池」解決
4月28日 妖狐伝」発生
5月半ば過ぎ 妖狐伝」解決
7月頃 地蔵は踊る」発生
8月25日 地蔵は踊る」解決
10月 鷹のゆくえ」発生
翌日 鷹のゆくえ」解決
万延元年 1860 6月末 蝶合戦」発生
7月16日 蝶合戦」解決
文久元年 1861 1月末 新カチカチ山」発生
2月28日 新カチカチ山」解決
3月16日 異人の首」発生
3月20日 異人の首」解決
7月初 鬼娘」発生
7月20日 鬼娘」解決
9月24日以前 女行者」発生
9月24日 菊人形の昔」発生
10月7・8日頃 菊人形の昔」解決
10月11日 女行者」解決
11月24日 化け銀杏」発生
12月19日 化け銀杏」解決
文久2年 1862 1月3日 雪達磨」発生
1月17日 雪達磨」解決
2月初 河豚太鼓」発生
2日後 河豚太鼓」解決
3月12日 張子の虎」発生
3月17日 張子の虎」解決
5月節句後 山祝いの夜」発生と解決
5月川開き前 奥女中」発生
7月11日 蟹のお角」発生
7月16日 蟹のお角」解決
8月15日 奥女中」解決
9月22日 猫騒動」発生※3
9月28・29日頃 猫騒動」解決
11月頃 湯屋の二階」発生
文久三年 1863 1月8日 湯屋の二階」解決
5月半ば むらさき鯉」発生
5日程後 むらさき鯉」解決
6月末 」発生
数週間後 」解決
8月15日 松茸」発生
11月23日 薄雲の碁盤」発生
11月26日 薄雲の碁盤」解決
12月13日 松茸」解決
文久三or元治元年 12月27日 三河万歳」発生
12月29日 三河万歳」解決
元治元年 1864 3月5日 お文の魂」発生
3月21日 三つの声」発生
3月末 少女の死」発生と解決
3月末or4月初 お文の魂」解決
4月13日前後 三つの声」解決
9月末 仮面」発生
10月半ば 仮面」解決
慶應元年 1865 1月末 春の雪解」発生
2月初or半ば 春の雪解」解決
2月・3月 歩兵の髪切り」発生
5月28日 お照の父」発生
6月5日 お照の父」解決
6月末 雷獣」発生
数週間後 雷獣」解決
8月初 柳原堤の女」発生
11月半ば 柳原堤の女」解決
慶應二年 1866 4月20日 向島の寮」発生
6月頃 向島の寮」解決
慶應三年 1867 6月末 少年の死」発生
7月25日 筆屋の娘」発生
8月初 筆屋の娘」解決
9月半ば 少年の死」解決

【注記】
 ※1 この表ではまだ「閏月」の考慮が出来ていません。不完全であることをご了承下さい。頑張って調べます。
 ※2 「白蝶怪」は最新の筑摩書房版では天保七年発生に改訂されている。
 ※3 「猫騒動」は最新の筑摩書房版では文久三年発生に改訂されている。


リンク

半七捕物帳や、青空文庫に関するリンク。

  • 趣味の十字路……半七捕物帳や、説話文学、カーなどについて。
  • 綺堂事物……岡本綺堂・総合案内。綺堂の人となりや、多々の詳細など。

事件の発生日と解決日について

 加えて、多くの要望がありましたので、各事件の発生日と解決日を作品右側に示したいと思います。「作品名(発生年月日~解決年月日)」。作品をお読みになった方で、リンクの右側に日時が記載されていない(もしくは、?と記載されている)ことに気付かれた方は、どうか日時を確認して、下記のメールアドレスにメールを下さい。次回の更新時に記載いたします。

 シャーロック・ホームズの愛好家(シャーロキアン)の中で、「事件発生年代学」という学問が存在しているのですが、この表はその「半七捕物帳」版というような感じです。(こちらの方が研究がコンパクトなのですが……(^-^;;)

 ただし、この事件発生日と解決日の究明について対象となるのは、「青空文庫」で電子テキストとして公開されている物に限ります。


確認と究明について

 やり方としては、一見単純なようで、やってみると作品によっては根気のいる物でもあります。

 一般的な方法としては、まず読書をすることを優先して、読書している中で出てきた日付を書き留め、後でまとめて日にちを確定するというものです。

 しかし時にこれだけでは不十分なときもあります。

 そのときは、本文中の細かな表記を頼りにしていかなければなりません。

 例えば、表記が分散していたりする場合や、
「――年の八月のこと」とあるページにあり、他のページには「~の事件があったのは二十二日頃だったか」とあれば、これを組み合わせなければなりません。

 また、日にちが明確ではないが、推理できる場合、
「~の二日後」とあれば、その基点となる日にちが分かればいいわけです。


最後に

 このページは、たった一人の人間では決して作れなかったものです。青空文庫の呼びかけ人の方々、入力の方々、校正の方々、そして読者の方々と、ご親切にも「半七捕物帳」に関する情報をくださった方々――私たちは、「ハンシチアン」という名称で呼んでいます――からの尽力があって、初めて作ることが出来たと思っています。

 ここに改めて、感謝の意を表します。

 ――追記 朝日新聞東京本社版2000年3月7日付の朝刊社会面に於いて、当ページが紹介されました。これもひとえに皆様のおかげだと思い、かさねて感謝する次第です。

 ――追々記 2002年5月23日、青空文庫において、半七捕物帳(小説)全六九話すべて公開となりました。おめでとうございます。そして、半七捕物帳の入力・校正等にたずさわっていただいた皆様および青空文庫の皆様、お疲れさまでした。