


ばにばにパパさんから ソーリーじゅうの こどもたちへ

みみを たてて こうまの パカラン パカランという あしおとを きいていたのです。
みちを すすむのは 1だいの ばしゃで、 うんてんしゅは マグレガーおじさん、 わきには よそいきの ぼうしを かぶった マグレガーおばさんも いました。


あなうさパパは もう いないので、 あなうさママが うさぎの けいとで てぶくろや リストバンドを あんで、 くらしを たてていました。 (わたしも このまえ バザーで かったんですよ。) そのほか ハーブや ローズマリーの おちゃ、 あなうさタバコ (いわゆる ラベンダー) なんてものも うっています。

そこで モミのきの うらに まわったのですが、 あやうく いとこの ピーターの まうえへ ころげおちそうに なりました。

「ピーター。」と ベンジャミンくんの ひそひそごえ。 「おまえ、 ふく、 だれに とられたんだよ?」

ベンジャミンくんは いとこの わきに こしを おろして ちからづよく かたります。 マグレガーおじさんが ばしゃで でかけたこと、 おばさんも いっしょだということ、 しかも よそいきの ぼうしだったから 1にちじゅう でかけっぱなしだと いうことを。

と そのとき、 あなうさママの こえが うさぎあなの なかから きこえてきます。 「カトンテル! カトンテル! ちょっと カモミールを とってきて!」
ピーターは、 さんぽに いけば たぶん きぶんも よくなる、 といいました。


ピーターが あたまから おっこちましたが ことなきを えました。 したの なえどこが たがやされたばかりで ふかふかだったのです。

ふたりは なえどこの あちこちに ちいさく あやしげな あしあとを たくさん つけます。 きぐつを はいた ベンジャミンくんは とくにもう。

というわけで かかしは はだかに されました。 よるのあいだに あめが ふったので、 くつには みずが はいっていて、 うわぎも ちょっぴり ちぢんでいました。
ベンジャミンは ベレーぼうも かぶってみましたが かなり ぶかぶかです。

ピーターは たのしくなさそうでした。 みみが がんがん しっぱなしなのです。

(ちなみに ベンジャミンくんの おとうさんの なまえは ばにばにパパさんと いいます。)
もちろん いいできの レタスをです。


ねずみたちが とぐちだんのところで サクランボの たねを わっていたのですが、 あなうさピーターと ばにばにベンジャミンくんが とおりすぎたので めを ぱちくりさせました。


いとこの すうほまえを あるいていたのですが、 いきなり たちどまってしまいます。

ベンジャミンくんは ひとめみた とたん、 すかさず ピーターを タマネギごと ひっぱって、 じぶんも いっしょに かごの したへと かくれて ……

もしや タマネギの においが だいすきだとか!
それは さておき かごのうえに のっかってしまって。

* * * *
わたしには かごのしたの ピーターと ベンジャミンを みなさんに かいてあげることが できません。 まず まっくらですし、 タマネギの においが ひどくて あなうさピーターと ベンジャミンくんは なみだまみれでしたから。おひさまが もりの むこうに ぐるっと まわって、 おひるも だいぶ すぎましたが、 まだ ねこは かごのうえに すわっていて。

ねこが みあげると、 なんと ばにばにパパさんが たかい いしがきのうえを ゆうゆうと あるいているのです。
あなうさタバコの パイプを ふかして、 てには こぶりの むち。
じぶんの むすこを さがしているのでした。

いしがきのうえから ねこの あたまを めがけて ちからいっぱい とびかかり、 ひっぱたいて かごから どかし、 さらに けを ひとつかみ むしって おんしつへと けりいれてしまいました。
ねこは おどろきのあまり やりかえすことも できません。

それから かごのところへ もどると むすこの ベンジャミンの みみを つかんで ひっぱりだし、 こぶりの むちで ぺしんぺしん。
そのあと おいの ピーターも ひっぱりだされて。


だれかが にわじゅうを きぐつで あるきまわったみたいなのに ―― そのあしあとと きたら おかしなほどに ちいさくて!
それに なぜだか ねこが じぶんから おんしつのなかへ とじこもって、 かぎも そとから かけていたのです。

(おしまい)